London4日目

 明日は午後一番のフライトで帰国なので、今日が実質ロンドン最終日。

 6時半過ぎに起き出して、いつものように7時には朝食に。今日も天気に恵まれそう。
 さっさと身支度して、ホルボーン経由でキングスクロス駅に向かう。そう、キングスクロス駅といえば「9と3/4番線」。世界一有名な魔法使いのハリーがホグワーツ特急に乗り込むホーム。
 キングスクロス駅は1から8番線は欧州ムード満点のアーチ式のホームで、9番線からは駅舎自体が枝分かれしていて、こちらはモダン明るい感じ。そして、その入り口にひっそりと「9・3/4」のプレートは埋め込まれていました。ハリポタ関係のストールは勿論、案内表示すらありません。もう、日本だったら間違いなく「熱海の貫一お宮」な、君もハリーになれる式の顔だけくりぬいた写真撮影用看板とか、ハリポタ焼き。BGMにはサントラがばんばん流れていることでしょう。しかし、ここはそんなものは一切無く、カエルチョコも百味ビーンズも売っていない。むしろ殺風景すぎるくらい。

King'sCross 駅
「ヨーロッパの駅」って感じです キオスク ハリーがひょっこり現れそう
9番線の入り口に・・・ ハリーの魔法その1 わかるかな? ハリーの魔法その2

 

 映画ハリーポッターでキングスクロス駅として外観が使われたのは隣接しているセントパンクラス駅で、レンガ色が美しく、東洋人の目からみれば駅舎というより立派なお城。
この隣り合わせの両駅はまさにリノベーション中で、クレーンが林立していて残念。
と、見上げると。

・・・!!!キングスクロス駅上空に、まさにキングスクロスが!!!

 ホルボーンまで戻って、大英博物館に。今日も快晴で歩くと汗がにじむほど。10時の開館にあわせて入場。グレートコートのスケールに驚く。展示はローマ・ギリシャ・エジプトに絞ってじっくり見学。それでも2時間半はゆうにかかる。全部見るには一体どれくらいかかるのか。世界中から、よくもまあこんなに集めましたね・・・(ーー;;;とかなり呆れた気分になる。ギリシャの神殿をまるごと持って帰ってきたり、壁画をことごとくひっぺがして来たり、巨大な城門があったりと、その「なんでもあり」な状況にかなりげんなり。
かの有名なロゼッタストーンは案外と小さい。
 グレートコートのカフェで休憩して今日の方針を練る。本当はV&A博物館に行きたかったけど、あまりにも時間がない。ここまで殆ど買い物らしいことはしていないし・・・ということで、ショッピングの定番ハロッズとハービーニコルス、リージェントストリートの玩具屋さん、ハムレイズを中心に午後は過ごそうと決める。夕方からはまたエンジェルでハムレットを観るので買い物の後は一旦ホテルに戻ることに。

大英博物館
グレートコート gingerさん ロゼッタストーン
こんなのがごろごろ・・・ 神殿がまるごと! ちょっとひといき

 12時前になったので、土産物屋をのぞいてから大英博物館を後にする。
目指すはホルボーンの「FRYER'S DERIGHT」。ロンドンに来たからには、やっぱり食べたいフィッシュ&チップス。しかも冷凍物ではなく、美味しいやつ。
 小さなお店は満員、といってもテーブルは4つしかなく、殆どの人はテイクアウェイ。お持ち帰り専用カウンターには、いかにも近所のおばちゃん、おじいちゃん、早めのランチのビジネスマン風カップルの先客あり。私もその短いに並ぶ。と、あとからどんどんスーツ姿の人達が並び始める。これは期待できるかも!! 

Fryer'sDeright Cod&Chips Graysinn

 店の奥では黙々とフライヤーにむかって魚やじゃがいも揚げるおじさん達、一見無愛想なフロア担当のおばちゃんと、てきぱきとしたテイクアウェイの受付のおじさん。いかにも庶民のお店。私は初心者なのでCOD&CHIPSで。勿論ビネガーと塩をたっぷりかけてもらう。紙袋に魚のフリッターとおおぶりにカットされたじゃがいもがどっさり。器用にくるくるっと包んでもらって、ほいっと渡される。昔のお肉屋さんのコロッケみたい。なにしろ回転がいいので、揚げたてアツアツ。これで£3.5。レストランで食べてる人の付け合わせのグリンピースも美味しそう。

 さて、この店のすぐそばが「グレイズ・イン」というロースクールで、お庭を一般にも開放しているのでお邪魔してみる。
 学生が思い思いに芝生で寝転がり、あちこちにあるベンチでは近所のビジネスマン達がランチを広げる。私も木陰のベンチに陣取ってでお昼ごはん。天気はいいし、風はそよそよ。絶好の外ごはん日和。
 そして待望のフィッシュ&チップス!まずはポテト、ほくほくでうまい!タラのフリッターは、一体どこからやっつけようかと悩むほどのボリューム。美味しそうな濃いキツネ色に揚がったころもはさくさくぱりぱりで、中の白身もじわっとジューシー。ばしゃばしゃ振りかけたビネガーのせいか、意外とあっさりとした味わい。これは美味しい!!・・・でも何しろ量が多い。
 健闘するも食べきれず。ああ、勿体ない・・・美味しいだけに後悔後悔。是非お二人でどうぞ。
 

 サウスケンジントンのコンランショップに向かう。新宿のコンランショップと同じではありますが、一応本店なのでね。広い店内は、まあ当然というか、趣味のよいモノで溢れている。子供向けの玩具なんて最高に可愛い。ブリキでできた小さなフライパンやソースパン、ケトルなどなどがちょっとチープな(これがミソ)袋一杯につまったおままごとセットなんて、キッチンやダイニングのインテリア小物としても十分通用する愛らしさ。かなり本気で欲しかったが、£40位と結構いいお値段。ささやかながらデンマーク製の鍋敷きを購入。£12で満足なお買い物。

 地下鉄でナイツブリッジに移動して、やってきましたハロッズ。食料品売場が楽しい!イートインコーナーもオイスターバーがあったりしてさすがに高級かつお洒落。ハロッズグッズを扱うアーケードは日本人で一杯!!殆ど三越状態。
 スパイスティーやチョコをお土産に購入。うっかり例のハッロズバックを手にするも、「こんなん三越にもハンズにも売ってますって!」と自分に渇を入れる。日本で三越にお買い物に出かけても、ハッロズコーナーには見向きもしないし、そもそもハロッズバック自体が好きじゃないはずなのに。(というか、あれをおべんと袋にして、その他にバッグを持つのがやだ)やだやだ、自分。
 ハービーニコルスはハロッズとは対照的に、モダンでやや若者向け。ポッシュな品揃えの中産階級憧れのデパートらしい。確かに食料品売場のオリジナル商品のパッケージもオシャレ。ここでは自分のお土産にフレーバーティーやチョコを購入。しかしイートインコーナーには回転寿司のチェーン店「Yo!sushi」が。ううむ。


 
ハロッズ ハービーニコルス ピカデリーサーカス

 もう3時を過ぎているので、急いでピカデリーサーカスへ。リージェントストリートをオックスフォードストリートまで散策する。スペインブランドのMANGOに立ち寄るも、結局何も買わず。巨大玩具店ハムレイズは期待しすぎたせいか、ごくごく普通の品揃え。ハリポタコーナーも映画公開時期とずれているのが悪かったのか、スペースも小さく目に付くものはなし。ここでの一番人気は「機関車トーマス」でした。
 一旦ホテルに戻って、荷物を置き、今度は目の前のスーパー、セインズベリィで職場バラマキ用土産を物色。本当にロンドンっ子はチョコバーが好きみたいで、ここにも「チョコバーだけ」のコーナーが幅をきかせている。小銭もたまってきたのでのセインズベリィオリジナルのチョコバーお徳用パック3袋と、リプトンのレディグレイ2箱を自宅用に購入。

 さて、いよいよこの旅もクライマックス。最後の夜を迎えます。勿論サドラーズ・ウェルズ劇場でのハムレット。前楽の最も良い舞台が待っているはず(と、自分で盛り上げてみる)。
 旅先ながらも、ちょっとお洒落して出かける。但しバスで。エレガントさに欠けるが、まあいいか。
 2回目なので、昨夜の変な緊張もなく、かなりリラックス。早めに出かけてエンジェルの街をちょっとだけ散策。小綺麗にして来たのに、どうしてもバーガーキングのワッパーが食べたくなり、「ま、これも日本じゃ食べられないから」と言い訳しつつ、堪能。うーん美味しい。なんで撤退しちゃったのか、バーガーキング。確かに高いけど。あ、これってロンドン最後の晩ご飯だし。全然エレガントにまとまってないし。そもそも昨日のカップ麺といい、なんとも適当。
 小銭消化のためにブーツでミネラルウォーターを買って劇場に向かう。

 
Hamlet
今日もやってきました 劇場裏手のパブ パンフは£3.5

  今日の席はstallのC18。ハムレットの「台詞」も「言葉」になって、
心に流れ込むような、素晴らしい舞台。
 「芝居の場」の萬斎王子、「二時間もたたぬうちに・・」のはずが「二ヶ月もたたぬうちに」と思いっきり。オフィーリアが微妙に動揺したようで、素で「はっ」として「二ヶ月の二倍になります・・・殿下」。よかったよ、次の台詞が「二ヶ月の二倍」で。こっちもややどっきり。まあ、そもそもハムレットの心の中の時間軸にはあちこちで矛盾があるのでそんなことはどうでもよろし。
 全体に「日本語のリズム」は狙いどおりうまく流れていたように思う。舞台にぐいぐい引き込むパワーにあふれていた。
 
 ただ、「日本語の音」として美しいかというと、萬斎ハムレットには疑問を抱かざるを得ない。萬斎さんの大地に響く声は好きだけれど、シェイクスピアの「様式性の極めて高いテキスト」に、萬斎さんの「様式性の極めて高い肉体」がぶつかりあう雑音のようなものを感じる。心に浸みいる声の持ち主なのに、この舞台では「音」としての浸透率が悪い・・・なぜなんだろう。

 歌舞伎の引出しを持つ芝のぶさんのオフィーリアには、「雑音」は感じないのは、あえて、歌舞伎の引出しを大きくは開けていなかったからなのかも。

 昨日もそうだったが、墓掘りの場、ハムレットと墓掘りの会話の「あそこ(イングランド)ならみんな狂ってるからめだたねえのさあ」でどっとうける。おお〜ロンドン公演だわあ、と実感。
 終演後、劇場を出ると雨。ロンドンに来て初めての雨だ。しかもこのタイミングで雨なんてむしろ最高の気分。らやずの雨、とでもいいましょうか。じーんとしていまいましたよ。これで全日程つつがなく終了・・・。
 

19番のバスでホテルに戻る。今日はきっちりセンターポイントで下車。
雨のなかコンビニに駆け込み、ビールを購入。シャワーを浴びて、ひとりで最後の夜の祝杯をあげる。ちまちまと荷物整理をして1時頃就寝。