London3日目

 7時起床。今夜はとうとう「Hamlet」。
このためにはるばるここまでやってきた訳です。
ロンドンらしからぬ雲ひとつない快晴。朝食も窓際でゆっくりいただく。

 8時30分にホテルを出て、地下鉄を乗り継いでウェストミンスターに向かう。
昨日より時間が遅いので、通勤ラッシュに紛れ込む。

 ロンドンの地下鉄はとにかく小さく狭く、みんな奥につめるということを一切しない。ドア付近にかたまったまま、中程は結構すいていたりする。電車は山手線並にがんがん来るので次を待っても全く問題なし。そもそもちょっと混んでるな・・程度だし。 
 駅を出ると、そこには唐突にビッグベン。ロンドンにいるんだということを激しく実感する光景。ぬけるような青空に壮大な時計塔。
 気温は東京の10月中旬くらい、湿度が低くさわやかな風が吹き抜ける。ロンドンっ子は早くもロングコートを羽織っている人も。女性のスーツは8割の確率で黒を基調にしたシンプルでシックなもの。ストッキングも黒が多い。ベージュや茶系は極端に少数。
 
 ロンドン・アイを左に観ながら対岸に渡って、テムズ川沿いの遊歩道からの景色を楽しむ。いつまでも眺めていても全く飽きない。
 時間のない悲しい旅行者(自分のことな)はウェストミンスター寺院の拝観時間にあわせて移動。実際に祈りの場なんだ、ということがしっかりと伝わる荘厳さ。日本語のパンフレットもあって、順路に従って拝観する。シェイクスピアのお墓もここにある。
予定では10時20分のリバーボートでタワーピアまで行くつもりだったが、このとき既にその定刻。やはり拝観には最低でも一時間はかかる。さらりと見て回る、という訳にはいかなかったなあ。
 次の船に乗るために急いで船着き場へ。ウェストミンスター寺院からは、ビッグベン、ロンドン・アイがフレームにおさまるのでなかなかよい眺め。

快晴!!

 ウェストミンスターピアでリバーボートの乗船券を買う。有効期間内のトラベルカードを持っていると33%割引になるので提示。ここでも勿論並んで待って、10時50分頃ようやく乗船。ここからロンドン塔真下のタワーミレニアムピアまでは20分ほどの船の旅。天気がいいのでとにかく気持ちいい。ぐうんと高い青空。まぶしい位の日差し。べたべたな観光コースだけどあなどるなかれ。このクルーズはおすすめ。やはりどこの国でも船に乗るのは妙に楽しい。

 
BigBen LondonEye 橋のたもとで
 

 
 タワーミレニアムピアで下船して、ロンドン塔をながめながらタワーブリッジを渡る。
ロンドン塔も見学したかったのだが、どう考えても時間がなく消去法で落ちる。うーん、ビーフィーターにも会いたかった。
 タワーブリッジに中程で、自転車ポリスにつかまる車に遭遇。ディスクブレーキ付のメッセンジャースタイルの警官がなにやら尋問中。騎馬警官だけじゃないのね〜。かっこいい!!どきどきしつつこっそり写真を撮る。

 タワーブリッジからバトラーズワーフへ。コンラン卿のデザインミュージアムが目的。ヴィジタートラベルカードについてくる割引クーポンを提示して入場。椅子は勿論、レコードジャケット、本の装丁等々生活のなかのデザインに焦点をあてているのは面白い。でも見応えはいまひつとつ・・・。懐かしのNewOrderの「republic」のジャケットが壁面を大きく飾っていたのが、あくまでも個人的にうれしい。

 バトラーズワーフは東京で言えばお台場か。倉庫街を改装して、カフェやレストラン、パブ。その上層階にキャンチ式ベランダが印象的なフラットが並ぶ。テムズ川とタワーブリッジを望む最高の立地。おのおのの住戸のベランダは花で彩られたり、狭いながらもガーデンテーブルでくつろぐ住人、ベランダが自転車置き場になっていたり・・・いや〜まいった。おしゃれすぎる。きっと夜はさらにすてきなんだろうなあ・・・。
 そろそろお昼時。デザインミュージアム併設のカフェものぞいてみたけど、いまひとつ心がうごかず。
コンラン卿のブループリントカフェは何しろお高いし。いや、あくまでもカフェなのでそうでもないんだろうけど、スターターがワンプレート£7・・・それって1400円程度。うーんうーんうーん。
 うだうだする時間も勿体ないので、ブループリントカフェをあきらめ、タワーブリッジを戻って地下鉄でタワーヒルからセントポール大聖堂のあるマンションハウス駅まで移動。セントポールもビジタートラベルカードのディスカウント対象。ちょっとお得。

あ! おまわりさん仕様 タワーブリッジ
バトラーズワーフ テムズ川に面したお洒落なフラット 路地裏のお店
 

 セントポール大聖堂はスケールが大きすぎて、外観からノックアウト。こんなに壮大な建物だったとは。残念ながらリノベーション中でドーム内側にも半分足場がかかっているし、通路もベニヤで養生されていて味気ない。とはいえ、荘厳、壮麗。細部にまで緊張感の維持された美しさ。特にドームの美しさには言葉が無い。しかしこんな高さのある部分にどうやって装飾を施したんだろう。地下のクリプトにはナイチンゲールやネルソン提督の墓石。ささやきの回廊に頑張って上る・・・
 さらに上の展望スペース、さらにそのまた上へ。痛めていた膝はこの段階で両方が完全に崩壊。
ちょっと怖い螺旋階段をびくびくしつつ登り、息も絶え絶えに最上部まで上ると、そこはロンドン一望の絶景!! 

 
セントポール大聖堂
ロンドン一望
ミレニアムブリッジとTateModern

 ミレニアムブリッジを渡ってテート・モダンへ。
ピノキオみたいな大きな風船スカルプチャーがお出迎え。これいいなあ、誰の作品だろ?

・・・なぬ?ポール・マッカーシー??

それってあれか?年末に食糧ビルで観た押入の中の衝撃作「ロッキー」のポール・マッカーシー???
うそだ〜こんな愛らしい仕事をするなんて〜嘘だ嘘だ!!嘘と言ってくれ〜!!(取り乱す)

 気を取り直してタービンホールへ。あれ?なにやら大改装中。ブルジョワの巨大蜘蛛は????
あ、そうか〜いま六本木ヒルズにいるんだよね。
ママン、長旅おつかれさまでした。

 なんだかんだでもう15時。本格的に館内を回る前にさすがに休憩しないと、ということでやっとランチ。
「ブリジットジョーンズの日記」でも舞台になっていた7Fのカフェに行くも結構並んでいる。
そんなに時間もとれないし、あきらめて下に降りるとエスプレッソバーの隣にキオスク発見。ピタロールとダイエットコークで簡単にランチタイム。チキンがカレー風味でなかなかおいしい。ここもセントポール大聖堂が正面に望める。それにしても、ああ、膝が痛い・・・
 

 
TateModern BrockFace タービンホール

 テーマ別の展示方法は十分成功していると思う。
そして、問題のポール・マッカーシー「ロッキー」。しかも壁面一杯に絵コンテ付き(^^;;;この絵コンテが、もう、なんというか、さらにパワーアップした内容で、これが映像化されなくて本当によかったと・・・。リーディングスペースには彼の作品集・・・いやはや、なんとも。
 
「ブロックフェイス」の模型やエスキスも展示されていた。この巨大風船オブジェは10月26日までの限定展示だったらしい。
 ミュージアムショップは充実。「ブロックフェイス」の図録もあったが、ばかでかくて重くて£22と高い。泣く泣くあきらめる。そのかわり残り3枚だったポストカードを買い占める。時間はもう17時30分、あわててパンフレットを購入。(帰国後これがフランス語版だったことに気付く・・・あほだ)
もっともっとゆっくり鑑賞したかった・・・かなり心残り。

 シェイクスピア・グローブ座を右手にみつつ、ロンドンブリッジ駅まで歩く。
ロンドンブリッジのアンダーパスには壁画調にデザインされたロンドン橋の物語。
・・・と、そこにまるでピーウィーことワトキンソン氏風の「ある種完璧な」ロンドン紳士が。
クラシカルな自転車、チャコールグレーの3ボタンスーツ、パンツはやや短め。茶色の帽子に、ぴかぴかに磨かれた革靴。やらせか?!京都で舞妓さん、柴又で寅さん。
あまりのフォトジェニックさにやらせ疑惑をいだきつつも、シャッターを切る。

見よ!このロンドン紳士っぷり!!やらせか??
 

 急いでロンドンブリッジ駅に向かう。ハムレット上演中のサドラーズ・ウェルズ劇場はここからノーザンラインで4つ目のエンジェル駅。
 ああ、遂に遂にこのときが来てしまいました。とりあえずチケットをピックアップしに劇場に向かう。
 エンジェルはカムデン・パッセージのアンティークマーケットが有名だけど、アッパーストリートは全体に若者向けでおしゃれなカフェや雑貨屋が軒を連ねる。まさに「ロンドンの下北沢」。
 劇場はやはり、というか当然一気に日本人だらけ。結構若い子が多いのが意外。
こっちのポスターはあのSPTの最高に素敵なデザインのものではなく、どちらかというとベタな感じ。咆吼する萬斎氏。チケットを受け取り、劇場周辺を散策。
 軽くなにか食べようかとも思ったけど、さっき食べたばかりだし・・・と18時30分には劇場に戻る。£3.5でパンフレット購入。ウェストエンドスタイルのシンプルな体裁。
 じわじわをわき上がる高揚感に耐えられず、バーでグラスワインを飲む。(逆効果)
 英国人と日本人の比率は6:4位で、日本人も現地在住の人がロンドンの友人と連れだって来ているケースが多いみたい。旅行者は私の様にハムレットが大きな目的の人は少なく、旅行期間中にたまたまロンドン公演があるので見に来ました、勿論初見です。って感じの人が圧倒的。 
 

サドラーズ・ウェルズ劇場 Hamletのポスター 終演後の劇場前
 

 今日の席はStallのG18。ステージとの適当な距離、さらにどまんなかで観やすく最高の席だった。肝心の芝居はというと、さすがにお疲れなのか、全体にこまかなトチリが散見。
特にオズリックは東京で光っていた軽妙かつちょっと悪いヤツ的な存在感が薄れているように思う。「6頭のバーバリ産の鞍」って・・・(^^;;;;
さすがにこれにはホレイシオも素で苦笑。まあ、苦笑しても全く不自然でない場なので問題ないけど。ていうか、苦笑するお顔も素敵。
 劇中妃も声がかれていて、あの魅力が全く発揮できていない。これは残念!侍女姿は相変わらず可憐だったからよしとしますか。
 途中携帯が2回鳴る。赤ちゃん連れてきている人がいて(驚き)、前半結構静かにしていたのだが、後半さすがに耐えられなくなり退場。そんなこんなで、全体の印象はもうひとつ。しかし、津嘉山・壌・吉田の三氏はいつ観ても安定感抜群。口跡もよく、本当にうまい。楽前の明日に期待しよう。
 終演は22時20分。帰りは劇場前のバス停から19番のバス。間違ってセンターポイントのちょっと手前で降りてしまい、5分くらい歩く。さすがに小腹が空いたので、コンビニに寄るも、サンドイッチは敬遠。シンガポールではおなじみの口可のカップ麺が¢90だったのでコーラとともに購入。こんなことならうちからカップ麺もって来ればよかった・・・。
 
 ホテルに戻って、さくっとカップ麺食べてシャワー浴びて就寝。
勿論足には日本から持ってきた「休足時間」。