5/18(Tue)   

快晴。あさごはんも美味しい。

  6時起床。すばらしい青空。朝食にダイニングへ降りると先客の上品なマダムに日本語で「おはようございます」と声をかけられる。80席程度の細長い形の朝食室は、平日のためかテーブルセッティングは半分程度。

  チーズ3種類、スモークサーモン、ローストビーフなどに加えて、ソーセージ、ベーコン、スクランブルエッグ等のホットミールも並び、なかなか充実した内容。コーヒーはポットでサービスしてくれる。パンの種類が多く、デニッシュが美味。
 昨日はパリ到着前の機内食が最後の食事で、なんだかんだで結局夕食をパスしている。休日のあさごはん。ゆっくり、のんびり美味しくいただく。 

 8時過ぎにホテルを出て、早速街歩きに出かける。ブルージュは塔の街。どこにいても鐘楼や聖母教会、救世主大聖堂が見えるので方向が定めやすく歩きやすい。
 素晴らしい街並み。ブルージュの成り立ち同様、時の流れが止まったかのようにひっそりと美しい。決して壮麗ではなく、寄り添うように並ぶ建物が愛らしい。まだ時間も早いので観光客の姿もまばら。

  マルクト広場には明日の「聖血の行列」のための大きな観覧席が設けられている。広場の一角には高い鐘楼がそびえ、広場の中央にはフランスの圧制に立ち上がったブルージュの英雄ヤン・フレ−デルとピ−テル・デ・コ−ニンクの二人の銅像。
  そして、この広場を取り囲む込むようにネオゴシック様式のどっしりとした州庁舎や郵便局、それにギザギザ刻みが特徴的な切妻屋根のカフェが立ち並んでいる。このギザギザはファサード面に装飾として施されているもので、屋根全体がノコギリ型になっているわけではない。美しいけど西洋のハリボテ文化だなあ、と思う。

 ブルグ広場では朝市。ローカルの買い物客で賑わっている。花あり、果物あり、野菜あり。チーズだけのストール、パテやテリーヌのお店、勿論チョコレートのストールも。いつまでも眺めていて飽きない。かなりの時間うろうろして楽しむ。


マルクト広場・ブルグ広場
朝のマルクト広場。人もまだまばら。 ブルグ広場の朝市 ブルグ広場からみた鐘楼
花屋さん。無造作なのに絵になる。 大粒でぴかぴか。 今が旬。ホワイトアスパラガス
  
  
 そうこうしているうちに、9時を過ぎると世界中からの観光客がどっと増え、ちいなさ街が急に騒々しくなる。日本からの団体さんもあちこちで見かける。さすがに人気の街なのねえ。こうなってくると、雰囲気は津和野か倉敷美観地区。いいところなんだけど落ち着かない感じ。まあ、自分もしっかり観光客な訳だが。
 
 ブルグ広場を抜けるとちいさな魚市場に出る。運河に沿って聖母教会に向かう。

 お目当てはミケランジェロの聖母子像。(なんでこんなところにミケランジェロがあるかというと、昔この町のお金持ちの商人が金貨100枚でイタリアから買い入れたそうで。)素晴らしいの一言。大作ではなく、どちらかといえば小品になると思う。しかし他の彫刻群から明らかに突出した緊張感と量感。硬質で緻密なフォルムに感じる安らぎと癒し、慈愛の表情。
魚市場・・・地元のおかあさん達がお買いもの。 魅力的な路地があちこちに 聖母教会
聖母子像。素晴らしい。 ちょっと笑える。 祭壇
  

 聖母教会を出て、正面の「メムリンク美術館」へ。旅行の計画を立てるまで全然知らなかったメムリンク。一応大学で美術を修めてるのにお恥ずかしい。
  で、観てみたわけですが、作品にばらつきがあって、しかも大きな祭壇画になると散漫で極めてワンパターンな印象。有名な「聖ウルスラの聖遺物箱」も確かに甘美で緻密ではあるけど、彼の作品全体に感じるひ弱さがぬぐえない。・・・・で、ようやく、自分がもともと初期フランドル派とさほど相性がよくないことを思い出す。そうだったそうだった。

 ベギン会修道院に向かう。気温は高く、歩き回るにはノースリーブで十分。運河クルーズの船着場には長い列ができている。乗り場はいくつかあるのだが、このメムリンク美術館の並びが一番混んでいるように思う。 
 ベギンホフの門を入った瞬間、気温がすっと下がる。観光客も沢山出入りしているけれど、風がさやぐだけの、その静謐さは騒がしいおしゃべりを制する雰囲気。
  愛の湖には白鳥が群れ、濃い緑が美しい。


かわいいチョコレート屋 ワッフル屋さんです なんだろ〜?これは??
ベギンホフ 水仙の季節に来てみたい 愛の湖 昔はゲントとを結ぶ波止場だったとか。


魅惑のホワイトアスパラガス
 そろそろお昼時。マルクト広場に戻って目に付いたカフェに入る。テラスに席を取り、なにはなくともビール。ブルージュのローカルビールをお願いすると、出てきたのは「 Brugse Tripel 」香ばしく、甘いキャラメルみたいな風味。でも重たくなく、むしろ爽やかな苦味が残っておいしい。
 
 待望の「Asperges a la flamande〜フランドル風ホワイトアスパラガス」をいただく。ゆがいたホワイトアスパラに、固ゆでたまごのみじん切りのバターソースを添えるシンプルな料理。ホワイトアスパラの旬だけに登場するメニューで、本来は前菜なんだけど、これに限ってはメインでのオーダーもOKだそうな。このあとにフリッツも食べたいし、きっとそれなりにボリュームもあるだろうからこの一皿だけにとどめる。
 ホワイトアスパラなんて、缶詰のくったりした食感が苦手で見向きもしなかったけど、これはさっくりとして、きちんと野菜の味がしておいしい。バターソースも比較的あっさり薄味。軽やかで、ゆでたまごとの相性もいい。
 調子にのってもう一杯ビール。今度は大好きな「Hoegaarden Witbire」(日本では英語読みのヒューガルデン・ホワイトで通ってますが、オランダ語ではフーハルデン・ヴィットビール)ちょっと遠慮してちいさなサイズのグラスでオーダー。昼真からぽーっと調子よくほろ酔い。
  お支払いは、さすがに観光地価格でトータル23ユーロ。
 
 後で調べて判ったことですが、最初に飲んだBrugse Tripeは高アルコールビールで、なんとアルコール度数9%!!そりゃ酔っ払いますわ。
 
Brugse Tripel Asperges a la flamande Hoegaarden Witbire
 
 カフェを出て、目をつけていたフリットの屋台(フリテリー)に。5人待ちくらいの列に加わる。フリットに添えるソースの基本はマヨネーズ。超高カロリーだよなあ、と思いつつも何事も基本が大事とオーダー。SAMURAIソース、ってのもあったけど、何味なのかな。テリヤキか??
 フリットは揚げたてあつあつ。そして大量のマヨネーズ。しかしこのマヨネーズがうまい。さわやかな酸味がたっていて、ちゃんと卵とお酢でつくりました、という味がする。フリットは冷凍物とはいえ、表面はかりかり、中はほくほく。かなりジャンクな組み合わせだけど、ほのぼのするうまさ。

 さすがに超満腹。しかもほんのり酔っ払い。ぽーっといい気分で運河めぐりのボートに乗る。ボートが満員になるまでしばらく待たされ、出航。視線が変わると街の見え方も変わる。風にふかれてかなりいい気分。船長が英語でガイドしながらの操船はちょっとジャングルクルーズっぽい。30分ほどで運河をめぐる。

マルクト広場のフリテリー 迫力のフリット。これで一番ちいさなサイズ この観覧席に腰掛けて食べました。
ボート乗り場は観光客で一杯 ボートから見る鐘楼 緑が深く、美しい

 マルクト広場に戻り、鐘楼に上る。日頃の運動不足を痛感するものの、ロンドンのセントポール大聖堂のささやきの回廊を思えば全然問題なし。まだまだ自分もいけるな、といかなりご機嫌よく一気に登り切ると、狭い展望フロア。ブルージュの赤茶色の屋根が続く街並みが広がる。
 ・・・うーん、やっぱりさすがに疲れた。

 ガイドブックにも載っている有名店「チョコレートライン」でトリュフを5個ばかり選ぶ。グラム買いができるので楽しい。お土産用にうさぎが型抜かれたチョコも購入。トリュフは歩きながぱくぱくらつまみぐい。かなりクリーミーで甘いタイプの味わい。ビターなオトナっぽさにはかけるけど、これはこれで美味しい。
 
 スーパーに立ち寄り、ビールを物色。やっぱり安いなあ。水とブルージュの醸造所「ストラッフェ・ヘンドリック」のブロンド(ゴールド)とブライン(ブラウン)を購入。

 タンタンショップをのぞいたり、レースの店をひやかしたりしながらホテルに戻ってしばし休憩。
玩具箱のような街並み 塔の街、ということがよくわかります カリヨン
The Chocolate Line ホテル正面 カフェも併設されています 部屋からの眺め どんなカフェよりも最高
 
 窓からの景色を眺めているだけでかなりの幸福感。ぼけーっとした時間を楽しむ。

 まだまだ明るいけど、時間はもう19時過ぎ。昼に食べたフリットとつまみぐいしたチョコがかなりきいていて、全然おなかがすかない。さっき買ったビールは部屋の冷蔵庫で軽く冷やしてある・・・そろそろ飲みごろのはず。えーい、のんじゃえ!ナッツをおつまみにゆっくり飲みはじめる。このだらだらした時間もひとり旅ならでは。

 鐘楼からは風に乗ってカリオンコンサートの音色。ポップスから「魔笛」までいろいろな曲が演奏される。

 日が暮れきるまえに、酔い覚ましもかねてちょっとお散歩・・・とまた街に出る。移動遊園地は今日も輝いている。
 
 夕暮れの街並みは朝とはまた違った艶っぽい質感で魅力が増す。観光客は日帰りが多く、このくらいの時間になると団体さんは見かけない。日中のざわざわした空気も落ち着いて、しっとりとしている。ブルージュには是非滞在して、朝と夕暮れを楽しんで欲しい。

 明日は「聖血の行列」。残念ながら夕方まで時間がとれないので泣く泣くあきらめる。朝ブリュッセルにむけて移動予定。
 
Straffe Hendrik Bruin 8.5% Straffe Hendrik Blond 6.5% 市場はすっかり撤収されたブルグ広場
可愛い雑貨屋のディスプレイ 夕暮れの街角 移動遊園地 結構ハイテックな遊具も沢山