旅支度   

旅はフライトキャンセルからはじまった。

 いよいよ当日。キャリーバックをごろごろ引っ張って出社。
 仕事を定時で終えて、予定通りに五反田駅から都営浅草線特急成田空港行きに乗車。

 京成線に入ったあたりで、電車は急にのろのろ運転に。泉岳寺でポイント故障があったらしく、止まったり、動いたりの繰り返し。まあ、チケットはPEXだし、予約時に座席まで指定してあるので、チェックインにはかなり余裕あり。・・・とはいえさすがにちょっぴりあせる。

 どう見ても「成田空港行き」の格好の私。通勤客の同情の眼差しが痛い。その視線に平静を装うと同時に、苦味の小粒がじんわり拡大。
「やっぱなんかある・・・」
 電車は結局20分遅れでなんとか運行し、成田空港には20時過ぎに無事到着。第一ターミナルはあと数便残すのみなので、がらがらでうら寂し。

 見るものも特にないのでとっととチェックインして、早々に出国。
 早速「成田でお風呂」計画を実行。出国後のエリアにはリフレッシュルームがあり、仮眠室やシャワールームがあるのだ。翌朝からばりばり動こうと思っていたので、ここで全身さっぱりとさせて機内では熟睡する予定。むふふ。
リフレッシュルーム入り口 フロント前の様子 シャワールームが並ぶ。30分500円
 シンガポール・チャンギ空港にも立派なトランジットホテルがあって、そのシャワールームもかなり快適。しかし成田も負けてません。さすがに狭いものの、ボディソープ・リンスインシャンプー、ローションやシャワーキャップ等のアメニティキットも充実。そこいらのビジネスホテル並。当然お湯の出もばっちり。そしてとても清潔。

 化粧を落として、頭も洗ってすっきり。お顔の保湿もばっちり。搭乗時間までは免税店ひやかしたり。

 21時にゲート到着。いきなり怒涛のフランス語の渦。あたしの一夜漬け程度のレベルじゃ当然さっぱりわかりません。ニューカレドニアからの乗り継ぎらしき人が目立つ。日本人は案外少数派でぱらぱら。

 21時15分過ぎ、さーてそろそろ搭乗時刻ねえ・・・・と思うもアナウンスの気配全くなし。あららら?胡椒くらいの大きさだった苦味の小粒、小豆大に成長。

 21時30分一回目のアナウンス。仏語・英語・日本語の順で、機体の整備が遅れているので今しばらくお待ち下さい云々。・・・・えーっと、成田って何時まで滑走可能だったっけ、とちらっと思う。
苦味の小粒、一気にガルバンゾー大に。

 22時二回目のアナウンス。機体不具合でまだ出発の予定が立ちません、次回のアナウンスは22時15分の予定だと・・・英語のアナウンスでは多分「燃料漏れ」だか「燃料系統のトラブル」だか言ってたと思うぞ。ひ〜。地上職員の動きは明らか慌しくなっていたので、この段階でキャンセルを覚悟。

 22時30分キャンセル決定。
 この時間なので他の便への振替もできるはずがなく、自動的に翌日のフライトになる。「ああ!もやもやした気持ちの原因はこれか!」と思うと同時に、心の霧が一気にぱあああああっと晴れる。

 ホテルは当然AF手配。かなり手際よく振り分けられ、再入国。気分的にさほどへこむこともなく、もともと決まっていたかのような平静さで、パスポートにばーんとVOIDのはんこを頂戴する。荷物を再度受け取って、ホテルのバスに乗車。

 私が振り分けられたのはエクセル東急。夕食・朝食・1000円分の電話代付。混雑するカウンターで23時30分にチェックインして早速ばんごはんに。

 
エクセル東急 深夜のロビー お部屋。ま、ふつーです。 ビュッフェ式定食のばんごはん。
 受け入れるホテル側は結構大変。チェックインカウンターには長い列。しかも急ごしらえでのディナーの準備。単純に、すごい対応力だな〜と感心。
 ばんごはんは、ホテルのカフェで定食形式。まあそれなり。さすがに飲む元気はなく、部屋に戻る。もうお風呂は空港で入っちゃった訳だが、悔しいのでもう一回しっかりと入る。
 
 翌午前中にフライトの予定とは説明があったものの、一体何時の便になるかはさらに深夜(早朝)にならないと連絡されない。各方面に「キャンセルになっちゃったよーん」と携帯でメール。各方面から励ましやら爆笑やらの返信が相次ぐ。
 
 一体明日何時に飛ぶのか、ブリュッセルには何時に着くのか、さらにブルージュには・・・しかし心は晴れ晴れ、全く不安にならないという妙な感じ。
 そうこうしているうちに、すとんと眠りについて長い一日が終了。